歴史は韻を踏む、2007,2008のSPY, ゴールド、金鉱株

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英語の諺では、歴史は繰り返さない、韻を踏む、といいます。というわけで、現在と状況が似ている2007,2008を振り返ってみます。


2007年後半にSPYが天井形成をし、ブル相場の終焉を予感したトレーダーがゴールドへのポートフォリオ分散を行います。このトレンドにのって投機筋はロングを急速に積み増します。当時としては多分過去最高の300K枚をこえるところまで積み増しました、しかし2008年始めから何かをきっかけにこの極端なロング積み増しを急速に解消します。先物市場は30xから40xの超レバレッジゲームなので市場参加者はファンダメンタルズとか金融市場一般の状況などあまり気にかけません。とにかくトレンド追従で売買します。なにしろ自分の意図したのとは逆に相場が2−3%動くと投下資金がゼロになります。ポジション維持期間は数時間とか数日以下のようです。宵越しのポジションは取らないといってもおかしくないようです。動き出すと一気呵成です。

これに伴ってゴールドは下落し、それに歩調を合わせるようにGLDも売られその現物保持高も減りました。たしかにGLD現物保持高は6月、9月に大きく下落しています。
こうしてゴールドは下落するのですが、最初の図のGDXに見られるように通常の対ゴールドレバレッジを超えてGDXは売り込まれています。これを後に議論します。

というわけで、一般的にはSPYが不安定下落するとゴールドが買われます(それは2018年末に見たとおりです)。しかしSPY下落が激しくなるとゴールドも売られるようになり、さらにそれに輪をかけて金鉱株も売り込まれます。

ここからは想像ですが、多くの投資家は一般株式とGLD、金鉱株をポートフォリオに組み込んでいます。ゴールド関連だけに投資しているわけではありません。そのため証拠金取引をしているトレーダーは一般株式が下落すると証拠金追証を求められGLDや金鉱株を売らざるを得ない状況になると思われます。GLDやGDXも例外ではないのです。


https://born2invest.com/articles/nyse-margin-debt-1979-present/


ブル相場終末期には多くのトレーダーがeuphoria状態になり、証拠金取引を増やすのです。2019年3月時点でも$574Bもの証拠金債務があります。たぶんこの10年の超緩和金融政策のために、市中には投機資金が溢れています。企業も借金して自社株買いをするぐらいですから。トレーダーは株価が下落すると追証を求められ株式売却を迫られます。それはGLDもGDXも同様なのです。

現在の投機筋ロングポジションを見ると、過去最高レベルまでほんの少しです。株式市場が不安定とは言え、投機筋の過大なロングポジションがいつ解消に向かってもおかしくありません。

最近のゴールド上昇を支えているのは、投機筋のポジション変化が圧倒的であり、ゴールドETFの現物増加寄与はそれほど大きくありません。


というわけで、歴史が繰り返すことは無いでしょうが、韻を踏むかもしれません。

その後2008年の金鉱株底値から大きなブル相場が待ち受けていました。今回はどうなるか・・・。


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