長いコメントなので記事に転載します。自社株買いに関するコメントです。



自社株買いに関する詳しいコメントが二編あり、記事として転載します。

冒頭訳を読むだけで全体が見えてくるほど、和文が切れてます。

単純な訳ミスがあります。
「自社株買い上位5社だけで全体の76%」 (グラフに示されるように)5業種です。

10b-18とは
SECには、ふたつの証券法、33年Securities Actと34年Securities Exchange Actに基づき、法執行に関連して規制制定権rulemaking powerが(議会によって立法的に)委ねられています。33年法は、証券発行にかかる虚偽(不実)表示防止の開示規整が目的であり、 取引所法は、発行された証券の流通(売買)に関する規整です。
10b-18は、SEC Rule 10b-18で、流通規整を目的する取引所法 9(a)(2), 10(b) に関する規則Ruleで、会社法や証券法など法律の定めにもとづく規制ではありません。SECは自分が策定したRulesに基づき、法執行までできる運用権限があります。違法性につき事実認定についての第一審の司法権primary jurisdictionも認められています。
日本法は2005年会社法に、「自己株式取得」を定め、どのような条件の下であれば認められるかにつき、財源規整cashout(分配可能利益、利益準備金、利益剰余金の払い出し)の点から、制限的に規定しておます。
10b-18は自己株式の買い戻しの価格、タイミンが規則が定める要件を充たせば、詐欺的売買に当たらないとして、自社株買いを連邦議会が連邦証券法や会社法の定めのもと認めたものではなく、単にSECがbuyback インサイダー関係者責任を免除して、その範囲であれば、証券法違反を問われる市場操作の責任securities-fraud liability が全面的non-exclusiveに生じないようにして、SECが法執行をしないno actionを約束しているにすぎません。Ruleは、証券取引の点から、購入の方法、タイミング、価格、金額を定めます。
日本法規制は、それらを投資家保護規整ではなく、証券法の規制からはゆるゆるなのかもしれません。
Marco Rubioは、中国ハイテク排除の2019国防権限法の立法提案者として、超党派を取りまとめられる議員です。確かフロリダで負けて大統領候補になりそこなった。Rubio以外は、爺さんたちです。
Rubioが今年2月に立法提案した、自社株買いに配当並みに課税案は、トランプの税制改革に関連して出てきたものです。
会社法の原理と目的から検討すれば、株主の有限責任を認める代わりに、株式を償還不能(剰余金があろうと、その払い出しは禁止)として債権者保護をはかった。有限責任とは、出資額の範囲を越えて、事業に関連して巨額の損失が発生しても、出資額以上の責任を負わない。資本の額の何倍もの借金で事業して損失を出そうと、船の沈没、鉄道の脱線、飛行機の脱落、台風での水没、地震や火災で、どんな損害賠償を受けようと、取引債権者や金銭の貸し手に損失や損害がでても、責任がない。有限責任が認められなければ、無限責任ですが、アメリカで有限責任が認められたのは、1900年以降の話しです。最初に許されたのは、出資額の2倍責任、3倍責任として、損失が出てから追加拠出義務があった。それでも事業リスクに資本が足りない分は、保険が買われたり。
災害リスクを除いても、剰余金を払いだして、資本のどんなに何倍の借金をしても、株主は責任がないのは許されるのか。借入で資産を膨張させて、それで大きな利益が上がれば内部資本は株主のもの、事業リスク損失がであれば、株主知らん顔で債権者が負担するルールは認められるのか。だから、株式は、事業リスクに必要な最低金額を維持しなければならず、払い戻し禁止なのです。特に、低金利だから社債や借入金でもって、資本コストの高い株式を買い戻せば、債権者の事業リスク負担を増大させる。信用格付けBBBがBBのジャンクに下がったら、社債の買い手が制限されますから、財務上のリスクが現実のものになる。
株式の払い戻しを認めるとすれば、株式の本質的な性格を欠き、50年の超長期のcallableの無担保劣後社債と変わらない。callable債とは、会社が一定の期間経過後に一定価格でcallできる権利が付いた社債です。普通株式についてはRule 10b-18が適用になりますが、劣後の永久債や優先株式や種類株については、適用されません。Rule 10b-18は、議会がSECの規制制定権まで奪えませんが、SEC ruleですから、SECの判断で随時修正することができます。
連邦議会での立法提案とは、SEC Rulesを越えます。







こちらに入れるべきコメントを誤って、
「S&Pが新高値をつけた時、唯一の買い手は自社株買いだった;それ以外は全員が売り手」 の記事コメントに入れてしまいました。以下補足。

Rule 10b-18の自己株式買取につき違法生を問わず全面的免責の条件についての概略として、
Share Buybacks - Mayer Brown (july 2018) <=検索できる

会社法などの実体法により、自己株式買取が認められているわけではないこと。
連邦証券取引所法にぶら下がるSECの運用ルールは、日本の証券法の学者の間では、規則と訳され、SECに立法権限が与えられているわけではなく、規則制定権が与えられいるにすぎない。SEC Rule 10b-18は、会社法の株式について、株式が株式たる本質である償還できない、払い戻しできない性格に関する違法の免脱を認めるものではない。SECルールは、証券法についての規則で、証券発行に関する不実の開示規制の1933年法や流通市場の1934年法の虚偽記載やインサイダー取引の違反行為に関して、規則通りの運用をしていれば、違法を免除して、問わない=訴えを提起しない性格のもの。
したがって、巨額な社債があるにも関わらず、償還が許される優先株式ではないふつう株式を払い戻す行為が、(株主を優先してリスクから外して)債権者に事業リスクを負わせて害する事情がであれば(結果としてそういう債権が満足に償還されるに足る源資が足りないeventsが生じれば)、剰余金の払い出し行為について、法律違反を問う訴えを排除できない。この場合は、実体権については、州法に従うことになる。証券の法規制は市場流通が前提となる連邦レベルゆえ、連邦証券法の適用になる。
日本法は、会社法155~160条に自己株式取得の前提条件が定められている。財源規則に従い、剰余金/利益準備金の取崩しについて、配当同様に、分配可能利益の額の範囲となる。分配可能額を越える還元の違反があれば(461条)、払い戻しをした取締役は、払い戻しを受けた株主と連帯して、会社に払いだし金を戻す支払責任を負う(462条)。無過失を証明できない限り。
2005年以前に旧商法が自己株式取得を制限してきた理由は、
〇会社の出資金を減らすこととなり、(会社法の目的と大原則の)会社債権者を害し、資本の充実・維持の原則に反して、法原則を骨抜きにする。
〇取得金額によっては、会社法の大原則の株主平等原則に違反し、骨抜きにする。(特定株主に対し、他株主より有利な条件で出資金の回収を認めることになる)
〇株価操縦、インサイダー取引などの不正に利用される。
〇会社支配に利用される。
会社法155条は、自己株式取得につき、以降に手続きを定めて限定的に認めている。

SEC Ruleによる自己株式買取が(役員報酬を株式で受け取った取締役の株式売却について)インサイダーに当たらない責任免脱を放任しても、別の立法により自己株式取得を制限すれば、できなくなる。
19年2月の立法提案legislative proposalをしているのは、Rubioばかりか、シューマーなど老練な立法者が入っており、さらに、それらの提案の裏づけとして、証券法学者の論文が出ている。
自己株式取得が制限されれ、得た利益を還元できなくなれば、株価は、半値になるだろうから、超党派での議員の動きは要監視。議員の提案は、法人税減税をしてしまったため、国の歳入が減るため、税法の点から、配当と同様の課税を導入する案のようだ。
そんなに払い戻しをしたければ、議決権を制限したふつう株式への転換権付きの取得条項(償還条項)付き優先株かcapital notes のような株でもない社債でもないhybirid 証券を使えばいいでしょうから、違うタイプの種類株が使われるようになるかもしれない。

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