ゴールド先物投機筋ポジション確認


直近のCoT報告は3月10日(火曜)閉場時点でのポジションです。
投機筋ロングポジションはかなり減りましたが、この一週間のゴールド下落は反映されていません。次週のCoT報告では投機筋ロングがかなり減るでしょう。また投機筋ショートポジションも多少は増えるでしょう。ゴールドETFの保持高は先物市場と比べたときかなりな量がありますが、その変動は緩やかなものです。上のチャートに示すのはGLDの保持高推移です。現在のゴールドブル相場の中での投機筋ポジションの変動範囲はこういう具合です。
来週のCoT報告では投機筋ロングのポジションは過去5年の変動範囲で50%近くになるのではないかと推測しています。

投機筋のポジションがとても極端なままで、昨年12月にゴールドが上昇したのはとても不思議でした。今振り返ると、FEDの量的緩和策が長年続き株も債権もゴールドもどれもが買い込まれていたのかなあと推測しています。年明けのソレイマニ将軍暗殺でもさらなるゴールド上昇とはならなかったのですが、その後の武漢肺炎拡大に伴いゴールドも買い込まれました。米国投資家は武漢肺炎を自らの問題とは感じず高みの見物でS&P500を大いなる安心感で買い進んでいました。一般的には株式が上昇するときにはゴールドは買われず、株式下落となるとゴールドが買い込まれます。しかし株式が大きく下落するときにはゴールドも売り込まれます、それは2008年に見られたことです。想像ですが、株式が下落するとその損失を緩和しようとゴールドも売られるのではないかと思います。一般株式大幅下落となるとGLD株も追証対象となるでしょう。相場は人の心が生み出すので、不安になると合理的行動が取れなくなります。

先週は1週間でゴールドが10%程度下落したため、200日移動平均に近づいてきました。2001年からの長期ブル相場では200日移動平均が下値維持サポートレベルでした。現在は200日移動平均は大きく右肩上がり推移しているで、たとえゴールド価格が現状維持でも1,2か月後には200日移動平均を大きく下回ることになるでしょう。となると今後ゴールドがどうなるか?それは人によって見方が違います、皆さんはどう思います?


また、今回の一般株式下落とゴールド下落をうけて金鉱株は急落しています。2月14日の高値からなんと半値以下になっているのです。推測ですが、株価総崩れ局面になると、金鉱株も追証対象となることと、普段は金鉱株を持つようなコントラリアンでも、ハードコアコントラリアン出ない限り、GoogleやAppleのような銘柄の方が安心感を持ってしまうのでしょう、たぶん。

通常、金鉱株の株価変動はゴールド価格変動の2xから3xの範囲です。このレバレッジの理由ですが、金鉱会社の産金コスト(AISCでみて900ドル/オンス程度)はそれほど変動しない中でゴールド価格が変動するとこれらの差額である企業収益はゴールド価格を2xから3xレバレッジするためです。ところが現在、ゴールド価格がピークから10%下落するなかで金鉱株は50%超の下落です、金曜安値でみると60%まで下落しています。下落レバレッジでみると5xから6xです。今の金鉱株価は2016年始めのゴールド価格が1100ドル/オンスだった当時のレベルです。ここまでレバレッジ率が大きく変化すると平均回帰すると見る方が自然です。平均回帰する際にはゴールド価格がさらに下落するか金鉱株が上昇するかのどちらかです。人によって見方が異なるでしょう、皆さんはどう思います?

もう一つ我田引水ですが、産金コストはそう大きく変わらないと先ほど書きました。それは鉱山従業員数も採掘・精錬設備も時間と共に変化しないからです。ただし産金コストのなかで大きく変動する要因があります、それは原油価格です。昔学校で世界最大の金鉱山は南アフリカのヨハネスバルグだと習いました、(おまけですがキンバリーはダイアモンドでした、地理の先生がひっかけ問題を出したのを覚えてます:) )。昔は露天掘りだったのがいまでは地下3000メートルまで掘り下げています。昔に比べてエネルギー消費が大きいのです。2015年の原油下落局面では石油に関してヘッジをかけていた金鉱会社とかけていない金鉱会社で会計利益に大きな明暗が生じました。ヘッジをかけていない金鉱会社の方が原油価格下落の恩恵を大きく受けたのです。今後の原油価格の推移によっては2015年と同様のことが起きる可能性もあります。

というようなことに思いを馳せています。

おまけ:操業費用に占めるエネルギ・燃料の割合。
https://seekingalpha.com/article/4186837-gold-price-framework-vol-2-energy-side-of-equation-part-ii



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