GLDの現物保持高が2016年のピークを超えた
ゴールドを売買する市場はいくつかあります。
その中でも総量および変化がとても大きいのが先物市場です。価格自体はリアルタイムでわかりますがその需給関係は毎週のCoT報告まで待たなければなりません、ただしOpenInterestは毎日開示されています。スポット市場はこの先物価格を参考に売買されます。つぎに注目するのは、株式市場で売買されるゴールドETFです。ゴールドETFは株式市場とゴールド市場をつなぐ導管の役割を果たします。この市場での需給を示す現物保持高は翌日には開示されますので有益です。田中貴金属等で扱われるコインやバー現物ゴールドもかなりな市場規模がありますが、その需給関係を把握するのは用意ではなく四半期ごとのWGCの報告書を待つしか有りません。
ゴールドETFとして著名なのはGLDでその他のゴールドETFを圧倒しています。そのためGLDの保持高変動を見ることでゴールドETF全体の需給を把握できます。
https://etfdb.com/etfs/commodity/gold/
昨日4月6日(月)に、GLDの現物保持高が984トンとなり、2016年7月のピークを超えました。
2016年夏を思い出すと、その前の8月に米国株式のフラッシュ・クラッシュが起きました。その少し前に人民元の切り下げがありましたが、これを原因とする大きな変動か、単なるコンピュータシステム上の不具合か私は知りません。ただしこの時多くのETFのストップロスがトリガーしてしまいました。数分後にはもとに戻りましたがストップロストリガーは当然もとに戻りません。ストップロス設定というのは相場がユックリと変動しているときには有用なのですが、フラッシュ・クラッシュには無効です。その後2018年営業初日から上海市場で市場安定化のためにサーキットブレーカー運用が始まりました。しかし、その設定のまずさから運用初日にブレーカー発動となり余計に市場を混乱させました。これをキッカケにS&P500もかなり下落し回復するのに3月まで待たざるを得ませんでした。こういう状況で株式投資家がGLDを夏まで買い込んで行きました。
その後大統領選で予想外のトランプ勝利となり、株式投資家は大型減税がすぐにも来ると信じ米国株を積極的に買い込み、ゴールドは忘れられてゆきました。
ここ数週は武漢コロナ蔓延とそれに伴う一般株式急落で投資家がまたゴールドに興味を持つようになっています。ただし現在のGLD現物保持高は2009−2012のレベルには及びません。当時は2008年の株式急落後、株式投資家がゴールドに興味を取り戻し積極的にGLDを買い込みました。この熱気が急速にしぼんだのは2013年春からのことで、FEDがQE3をオープンエンド型としたためです。規模も期間も事前に定めず、必要に応じて量的緩和を実行すると約束したのです。株式投資家はFEDが株式市場を支えてくれると信じ、ゴールドに目もくれなくなりました。
では、これからGLDの現物保持高はどうなると思います?
一方先物市場を確認しましょう。直近のCoT報告は3月31日(火)のものです。最近何度も証拠金が引き上げられたこともあり、OpenInterestや投機筋のロング、ショートはどれも急激に減退しています。FEDを除けばどの投資機関も投資資金は有限です。証拠金が増えると以前のような大きなポジションを取れなくなります。また、たいていの投資家投資機関はゴールド先物だけに全資金を投じているわけではなく、株式市場等が下落すると利益の出ている市場で現金化して損失総量を抑えようとするのは当然です。
投機筋のロングを現在のブル相場の変動範囲内でみると52%とかなり中立的なところまで減っています。またショートはこの期間の変動範囲で最低量です。
さらにOpenInterestも急激に減っておりゴールド先物市場の熱気減退が伺えます。過去の例を見るとピークから谷を迎え次の上昇が始まるのは変動範囲の下限、約400K枚になってからです。
今後先物市場はどうなると思います?
ただし、私が注目しているのはゴールドではなく金鉱株です。3月の半ばには金鉱株は一生に一度遭遇できるかどうか程度の魅力的な株価でした。この数年金鉱会社のAISCは$900−$950/オンスとそう変化していません。ゴールド価格が$1500ということは$600/オンスもの利益があるわけです。3月半ばほどではないにしても、現在もまだ金鉱株は割安のように、私には見えます。現在は株式市場の大混乱がまだ続いており、市場が大きく歪んでいます、企業の収益やPERを見て冷静に投資する人が圧倒的に少ないように思えます。
皆さんにはどういう具合に見えますか?
その中でも総量および変化がとても大きいのが先物市場です。価格自体はリアルタイムでわかりますがその需給関係は毎週のCoT報告まで待たなければなりません、ただしOpenInterestは毎日開示されています。スポット市場はこの先物価格を参考に売買されます。つぎに注目するのは、株式市場で売買されるゴールドETFです。ゴールドETFは株式市場とゴールド市場をつなぐ導管の役割を果たします。この市場での需給を示す現物保持高は翌日には開示されますので有益です。田中貴金属等で扱われるコインやバー現物ゴールドもかなりな市場規模がありますが、その需給関係を把握するのは用意ではなく四半期ごとのWGCの報告書を待つしか有りません。
ゴールドETFとして著名なのはGLDでその他のゴールドETFを圧倒しています。そのためGLDの保持高変動を見ることでゴールドETF全体の需給を把握できます。
https://etfdb.com/etfs/commodity/gold/
GLD | SPDR Gold Trust | Precious Metals | $50,755.32 | 6.82% | 14,522,195 | $152.65 | 0.49% | |
IAU | iShares Gold Trust | Precious Metals | $20,387.43 | 7.10% | 29,263,102 | $15.53 | 0.71% | |
GLDM | SPDR Gold MiniShares Trust | Precious Metals | $1,733.42 | 7.07% | 2,732,711 | $16.21 | 0.62% | |
SGOL | Aberdeen Standard Physical Gold Shares ETF | Precious Metals | $1,481.01 | 6.91% | 1,539,334 | $15.63 | 0.51% | |
BAR | GraniteShares Gold Trust | Precious Metals | $774.63 | 7.15% | 524,836 | $16.19 | 0.56% | |
OUNZ | Van Eck Merk Gold Trust | Precious Metals | $225.30 | 6.73% | 126,691 | $15.85 | 0.38% |
昨日4月6日(月)に、GLDの現物保持高が984トンとなり、2016年7月のピークを超えました。
2016年夏を思い出すと、その前の8月に米国株式のフラッシュ・クラッシュが起きました。その少し前に人民元の切り下げがありましたが、これを原因とする大きな変動か、単なるコンピュータシステム上の不具合か私は知りません。ただしこの時多くのETFのストップロスがトリガーしてしまいました。数分後にはもとに戻りましたがストップロストリガーは当然もとに戻りません。ストップロス設定というのは相場がユックリと変動しているときには有用なのですが、フラッシュ・クラッシュには無効です。その後2018年営業初日から上海市場で市場安定化のためにサーキットブレーカー運用が始まりました。しかし、その設定のまずさから運用初日にブレーカー発動となり余計に市場を混乱させました。これをキッカケにS&P500もかなり下落し回復するのに3月まで待たざるを得ませんでした。こういう状況で株式投資家がGLDを夏まで買い込んで行きました。
その後大統領選で予想外のトランプ勝利となり、株式投資家は大型減税がすぐにも来ると信じ米国株を積極的に買い込み、ゴールドは忘れられてゆきました。
ここ数週は武漢コロナ蔓延とそれに伴う一般株式急落で投資家がまたゴールドに興味を持つようになっています。ただし現在のGLD現物保持高は2009−2012のレベルには及びません。当時は2008年の株式急落後、株式投資家がゴールドに興味を取り戻し積極的にGLDを買い込みました。この熱気が急速にしぼんだのは2013年春からのことで、FEDがQE3をオープンエンド型としたためです。規模も期間も事前に定めず、必要に応じて量的緩和を実行すると約束したのです。株式投資家はFEDが株式市場を支えてくれると信じ、ゴールドに目もくれなくなりました。
では、これからGLDの現物保持高はどうなると思います?
一方先物市場を確認しましょう。直近のCoT報告は3月31日(火)のものです。最近何度も証拠金が引き上げられたこともあり、OpenInterestや投機筋のロング、ショートはどれも急激に減退しています。FEDを除けばどの投資機関も投資資金は有限です。証拠金が増えると以前のような大きなポジションを取れなくなります。また、たいていの投資家投資機関はゴールド先物だけに全資金を投じているわけではなく、株式市場等が下落すると利益の出ている市場で現金化して損失総量を抑えようとするのは当然です。
投機筋のロングを現在のブル相場の変動範囲内でみると52%とかなり中立的なところまで減っています。またショートはこの期間の変動範囲で最低量です。
さらにOpenInterestも急激に減っておりゴールド先物市場の熱気減退が伺えます。過去の例を見るとピークから谷を迎え次の上昇が始まるのは変動範囲の下限、約400K枚になってからです。
今後先物市場はどうなると思います?
ただし、私が注目しているのはゴールドではなく金鉱株です。3月の半ばには金鉱株は一生に一度遭遇できるかどうか程度の魅力的な株価でした。この数年金鉱会社のAISCは$900−$950/オンスとそう変化していません。ゴールド価格が$1500ということは$600/オンスもの利益があるわけです。3月半ばほどではないにしても、現在もまだ金鉱株は割安のように、私には見えます。現在は株式市場の大混乱がまだ続いており、市場が大きく歪んでいます、企業の収益やPERを見て冷静に投資する人が圧倒的に少ないように思えます。
皆さんにはどういう具合に見えますか?