イスラム2.0 ーーインターネットによるイスラム宗教改革
「反日種族主義」をよみましたか?常々テレビ等のニュースを聞いていて理解できないことが明確に書かれています。我々は学校で近代史をあまり習いません。歴史の授業は過去から現代に向かって進行するので、近代史は時間不足で自己学習になるでしょう、私の記憶ではそうでした。そこへ韓国人歴史研究者であるこの本の著者も言うように、日本の一部マスコミが間違った自虐史を刷り込むために、対韓国政策を間違い、当地における反日種族主義を増長させていました。この本を読むと日韓関係は5年や10年で改善するようなものではないことがよく理解できます。
この本「イスラム2.0」はもう一つ中東での出来事に対してこれまでニュースを聞いても理解できないことを明らかにしてくれます。
日本のテレビや新聞で耳目にするこういうことはすべて全く間違っていることをイスラム研究者が明快に解説しています。
- イスラム教は危険な宗教だと思われている、しかし本来のイスラム教は平和宗教だ。
これはテレビでエジプト人まで登場させてよく語られます。これは全く間違いです。
- テロを起こしているのは「過激派」であり、「洗脳」されている。
これもテレビでよく目にします。これは全く間違いです。
- 日本は憲法9条でまもられている。
先日亡くなったお医者さまもこの論陣を張っていたようです。お悔やみ申し上げます。
- 日本は異教に寛容なので彼らから敵対視されることはすくない。
何年か前のバングラディシュのテロで犠牲になった日本人も日本人であることで命乞いをしたようです。でもそれは全く逆の行為であり、早く殺してくださいと懇願するようなものです。
皆さん学校で習った500年前のキリスト教の宗教改革を覚えているでしょうか?それまでは聖書はラテン語で書かれた写本が大きな教会にあるのみで、一般信者は神父の説教から教えを受けることでキリスト教の理解をしていました。ところが印刷技術の発明で聖書のドイツ語逐語訳が広く多くのひとに知れ渡ることになりました。こうして教会の免罪符発行等の行為が聖書の教えから大きくかけ離れていることが誰の目にも明らかになったのです。
いま、イスラム教で起きていることはこれとそっくりです。これまでは権威ある聖職者の解釈でイスラム教が教えられていたのが、インターネットの普及によりだれでも英語or 母国語で一言一句理解できるようになりました。まさに今イスラム教の宗教改革が進行中です。
テロを起こす人たちは決して「過激」でもなく「洗脳」されているわけでもないのです。経典コーランとムハンマドの記した言行録に忠実に行動しているだけです。イスラム教にとっては現世は戯れに過ぎず、来世の天国こそが重要なのです。これに貧富の違いはありません。大金持ちであってもそうなのです。しかも無神論者・異教徒を追放し世界をイスラム一色にすることが大元の教義です。
日本では政教分離とか異教徒に寛容なために平和が保たれていると多くの人が思っていますが、イスラム教では政教分離は有りえません。政治と宗教は一体の教えなのです。しかも多産を教義で勧めています。一人一票という民主主義はイスラム教に対してはとても脆弱な仕組みです。現に英国では昨年の新生男子の最多の名前はモハンマドでした。
日本人は宗教に寛容であることで、近代精神構築で、ある種イスラム教を見下しているかもしれません。中東からの移民受け入れで寛容政策を取った欧州リーダーたちも、何年か立つとイスラム教徒も同化すると考えていたいようです。でもそれはトンデモナイ勘違いです。そもそも「平和」という概念が我彼では違うのです。
だれでもイスラム教の教義にインターネットで簡単に自国語でアクセスできることで、かつてのイスラム教権威が世俗との折衷解釈をすることも難しくなっています。
私にとっては目からウロコの一冊でした。