ゴールド先物ポジション確認

昨日ゴールド価格がかなり下落しました。しかしまだ200DMAには達していません。


 8月はじめの天井後、下落トレンドにあります。ファイザーがワクチン開発を発表した日には株式市場が沸き立ち、その影響がゴールド市場にまでおよびましたが、二日後にはすぐに調整下落トレンドに戻っています。

必ずしもゴールド価格が200DMAを超える必然は有りません。前回の長期ブル相場、2001年から2011年までの長期ゴールドブル相場では200DMAがサポートレベルとなり10年間上昇を続けました。ただしこのときも市場が加熱した後には数か月の調整となり一旦200DMAを下回ってから次の上昇起点となることが度々でした。

2015年末からの現在のブル相場を見ると次の上昇起点のヒントになるかもしれません。(ならないかもしれません!?、相場が過去を必ず繰り返すなら市場参加者は皆大金持ちです。)


一方で、GDXJはすでに昨夜200DMAをよぎりました。金鉱株投資家のeuphoriaが揺らいできているということでしょう。普通はさらに悲観に傾いてから次の上昇起点となります。GDXJの次の上昇の起点ですが、今回のブル相場の様子を振り返るとヒントを得られるかもしれません。このチャートには直近数日のデータが取り込まれていません。


では、ここでゴールドの主要な受給を示す先物投機筋のポジションとゴールドETF(GDX+IAU)の現物保持高を見てみましょう。


まず、ゴールドETFですが、8月始めの天井までは多くの資金が絶え間なく流入していました。しかし8月初め以降は資金流入が止まり、11月になって記録的な資金流出となっています。たぶん、7月にGLDやIAUを買った人はモメンタムを追いかける weak hand です。モメンタムが衰える・逆流すると簡単に手放すと思われます。現物保持高の減少速度はこれまでに見たことのない速度です。ファイザーのワクチン発表のときにゴールドが上昇しましたが、ゴールドETF保持高に特段の変化は見られません。ゴールドETF保持高は毎日管理会社から開示されており、あの上昇はゴールドETFの買いによるものではありませんでした。次のゴールド上昇がゴールドETF主導になるなら、毎日の保持高変化で把握できるでしょう。

一方ゴールド先物投機筋は先週火曜時点でLONGを400K枚弱持っています。ファイザー騒ぎの時のゴールド上昇は先物投機筋の買いによるものでしょうが、先物ポジション開示は火曜閉場時のものなのでこのチャートに変化はみられません。たぶん二日後には買いを解消しています。現在のLONG400K枚程度の量ですが、昨年末から今年年初にかけてと同じです。今年2月にはもっとポジションを増やしたこともあります。ただし、先物市場は証拠金取引で、現在の証拠金額は年初の倍以上になっています。ということは投下資金でいうと投機筋はAll-IN状態と推測されます。もう弾が尽きた状態です。だからこそファイザーのお祭り騒ぎの際の買い入れも維持できませんでした。投機筋の強気をゴールドETFが追いかけてくれると良い循環となりますが、現在はゴールドETFが逆に資金を流出させています。しかも記録的なスピードで。

今後の展開としては、ゴールドETFに再度資金が流入し先物市場と正のスパイラルを形成する、もしくはゴールドETFの資金流出と先物市場LONG解消が負のスパイラルを生んで売りが売りを呼ぶ、どちらかです。

皆さんはどう思います。

2015年末からの現在のブル相場で上昇の起点において、先物ポジションやゴールドETF現物がどういう位置にあったかを振り返ると参考になるかもしれません。

さらにゴールド先物投機筋はゴールドも通貨の一つとみてDXYを売買の参考にしているようです。DXYは9月初めに直近の底を迎えましたが、そこからまだ大きく上昇していません。今後もしDXYが大きく上昇するなら先物投機筋はそれを売買判断材料にするでしょう、たぶん。これも絶対では有りません。絶対があるなら皆大金持ちです。

という具合に現在相場を見ています。
皆さんの相場観はどうでしょうか?





人気記事

大型米国株2019Q1ファンダメンタルズ by Zeal

雇用統計が教えるものーー経済は鈍化している

地球温暖化論のデタラメを図解

収益祭りは終わる:Q1収益成長は急落、この3年で最大の下落

FEDは「単に秘密を明かしただけ」、資産バブルを引き起こしたことを認める